本学は水質汚濁防止法に規定される特定事業所であり、学外への排水の水質は下水や環境水に負荷を与えないよう、厳しく規制されている。

排水の水質測定の頻度及び測定すべき項目は水質汚濁防止法、下水道法等で定められており、測定結果の記録と下水を管理する自治体への報告が義務付けられている。

構内排水のシステム

京都工芸繊維大学は松ヶ崎キャンパスと嵯峨キャンパスに分かれている。

松ヶ崎キャンパスの排水は雨水、実験室排水および生活排水の3系統に分かれ、雨水以外はすべて下水道に流出しており、下水道法の適用を受ける排水口は、東部構内1ヶ所、西部構内1ヶ所の計2ヶ所である。雨水は直接高野川に放流されている。

嵯峨キャンパスの排水は下水道に流出し、下水道法の適用を受ける排水口は1ヶ所である。

これら3ヶ所における排水の水質基準を下表に示す。

測定項目排水基準
温度(℃)45
水素イオン濃度(pH)5~
生物化学的酸素要求量(BOD)3000
化学的酸素要求量(COD)160**
浮遊物質量(SS)3000
ヨウ素消費量
n-ヘキサン抽出物質(動植物油)30
3
亜鉛2
総クロム2
フェノール1
溶解性鉄10
溶解性マンガン10
フッ素及びその化合物8
ニッケル2
ホウ素及びその化合物10
カドミウム0.03
シアン0.5
有機リン0.5
鉛及びその化合物0.1
六価クロム0.25
ヒ素及びその化合物0.1
総水銀0.005(学内基準値は0.002)
アルキル水銀検出されないこと
トリクロロエチレン0.3
テトラクロロエチレン0.1
ジクロロメタン0.2
四塩化炭素0.02
1,2-ジクロロエタン0.04
1,1-ジクロロエチレン0.2
シス-1,2-ジクロロエチレン0.4
1,1,1-トリクロロエタン3
1,1,2-トリクロロエタン0.06
1,3-ジクロロプロペン0.02
クロロホルム0.6*
トランス-1,2-ジクロロエチレン0.4*
1,2-ジクロロプロパン0.6*
p-ジクロロベンゼン3*
ベンゼン0.1
セレン及びその化合物0.1
トルエン6*
キシレン4*
1,4-ジオキサン0.5

BOD以下1,4-ジオキサンまでの単位はmg/l/*は管理目標値/**は総理府令による排水基準

排水のpHと水温の常時監視・記録

排水のpHと温度は下水道法で一日一回以上測定することが定められている。

松ヶ崎キャンパス西地点には連続測定装置を設置し、pHと温度の連続測定を行っている。これらの数値は環境科学センターに送信され、PCで管理している。pHは5~9、温度は0~50℃の範囲を超える異常値を示す場合には、センターで警報が点灯する仕組みになっている。

松ヶ崎キャンパス東地点には生活排水のみが流入しており、水量が少ないので1週間に一度、手動でサンプリングしてpHと温度の測定を行っている。

嵯峨キャンパスでは、ショウジョウバエ遺伝資源センターの実験室排水口でpHと温度の連続測定を行っており、これらの数値はセンター内の管理室で表示され、記録している。

松ヶ崎キャンパス西地点及び嵯峨キャンパス排水の連続測定装置の保守・点検は外注委託しており、月1回点検および校正を行っている。

構内排水の分析

下水道法に定められているその他の項目については月2回、3ヶ所すべての排水をサンプリングし、環境科学センターで分析を行っている。

また、年に5~6回(2、3ヶ月に1回)は排水の外注分析を行い、学内での分析結果とのクロスチェックを行っている。

➡2019年度の排水水質の分析結果はこちら

排水に影響を与えるもの

近年、化学物質はいろいろな材料に使用されており、水質異常の原因は化学系の実験室とは限らない。実験系廃液以外にも、非実験系や事務室でも使用し排水に影響を与えるものがある。塗料や接着剤には有機溶剤が含まれているものがあり、一部の溶剤は下水道法の排水規制項目である。染料、絵具や顔料には毒性の強い金属を含むものがあり、これらの金属は排水の規制項目である。使用する材料等の成分を必ず調べ、一度に大量に洗浄したり処分したりしてはならない。

下記の表に非実験系でも使用する有害な化学物質を含む材料の例を示す。

材料含有する化学物質
塗料トルエン、キシレン*、酢酸エチル、メチルアルコール、イソプロピルアルコールなど
染料クロム、鉄
絵具・顔料カドミウムイエロー・カドミウムレッド(カドミウム)、シルバーホワイト(鉛)、
バーミリオン(水銀)、クロムイエロー・オレンジクロム(クロム)、
コバルトバイオレット・エメラルドグリーン(ヒ素)、セレンレッド(セレン)など
接着剤ジクロロメタン(市販のアクリル樹脂接着剤)
洗浄剤水酸化ナトリウムなどのアルカリ、リン酸などの酸など

*工業用キシレンにはエチルベンゼン(約20~40%)が含有しており、エチルベンゼンは特定化学物質として、他の溶剤よりもさらに厳しい取扱いが必要である。

アルカリ異常の原因となるものの例を次に示す。

材料等
アルカリ性の薬品水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム、アンモニア水、水酸化カルシウム(消石灰)、炭酸ナトリウム(ソーダ灰)など
写真現像液亜硫酸ナトリウムなど
アルカリ性洗剤実験用:SCAT(スキャット)やそれと同等品
一般家庭用:弱アルカリ性洗剤(pH8-11まで幅広いpHのものが市販されている)、
食器用洗剤、クレンザー、パイプ用洗剤、ハンドソープなど
漂白剤
(次亜塩素酸ナトリウム)
市販のハイターなど
陶芸釉薬
コンクリート、セメント